たった一つの言葉からも、その国の歴史や社会的背景、文化を知ることがありますね。

「Karoushi」は、このまま英語にもなっています。

⚫︎「過労死(かろうし) Karoshi」とは?

日本では、1970年代後半から「過労死」という言葉が定着し、問題が社会的に広く認識されてきました。
「過労死」は、過重な業務による疲労や精神的なストレスが有力な原因の一つとなって,疾病や自殺などで死亡または重篤な障害に至ること。
「過労死」は、臨床医学的な病名ではなく,労働災害における社会医学的な用語です。
日本語の「過労死(karoshi)」は、英語の辞書にそのまま登場するほど、世界的に知られるようになりました。

⚫︎日本の過労死問題から生まれた国際的な変化:
日本の過労死問題が世界に認識されたことをきっかけに、他の国でも労働者保護政策が促進されました。
フランスでは、勤務時間外のメールを禁止する法律が成立しました。
ドイツでも「反ストレス法」の提案が促進されています。

⚫︎過労死の主な原因:
過労死の原因は、長時間労働、不規則な勤務、心理的・身体的負荷の過重な業務など、複数の研究によって心身の健康問題と関連づけられています。

特に、脳血管疾患や心臓疾患といった、重篤な身体的な疾患の主な原因は、「長時間労働」です。
月80時間を超える時間外労働は脳・心臓疾患のリスクを大幅に高め、睡眠不足やストレスが蓄積し、血管の損傷やホルモンバランスの乱れにつながることがエビデンスとして示されています。

<詳細>
⚫︎長時間労働
脳・心臓疾患のリスクは、週55~60時間以上の労働、または月80時間以上の時間外労働で高まることが研究で示されています。

不規則な勤務:
不規則な勤務時間、夜勤、出張の多い業務は心身に負担をかけます。

過重な心理的・身体的負荷:
重大な判断や処置が求められる業務、過重な責任、ハラスメント、事故や災害の体験などは精神障害の原因となります。また、重量物の運搬、長時間の立ち仕事などの身体的負荷も関連します。

その他の要因:
出張の多い業務、心理的・身体的負荷を伴う業務、過酷な作業環境など、長時間労働以外の働き方の問題も関係しています。これらの要因に加え、企業の経営状況や業界特有の商慣行、労働者の属性、睡眠不足、家事負担などが背景にあるとされています。

<要因による影響>

脳・心臓疾患:
過重労働により睡眠時間が減少し、緊張が続くことで血圧が上がり、血管が傷つきやすくなります。
これにより、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などのリスクが高まります。
精神障害:
精神的なストレスが蓄積し、うつ病や不安障害などを引き起こすことがあります。
身体への影響:
睡眠不足は認知症やがんのリスクを高め、免疫力の低下につながることが示されています

⚫︎2025年の「過労死」死者数、死傷者数

月別の累計データ(2025年7月末時点)では、
死者数は、363人(前年同時期比0.8%減少)。
死傷者数は、6万4612人(前年同時期比1.4%減少。)

参照:
労働者健康安全機構(JOHAS) エビデンス: https://records.johas.go.jp/evidence
過労死等はどのように起きるの? https://records.johas.go.jp/article/1
労災ユニオン
https://rousai-u.jp/2025/09/rousainews202507/